SII登録蓄電池の一覧と実効容量|DR166製品は平均83%・ZEH240製品は84.2%を実測・容量の選び方【2026年】

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10kWhの蓄電池を買っても、10kWhの電気は使えません。電池を保護するために使い切らない設計になっているうえ、直流と交流の変換でも電気が失われるからです。実際に充放電に使える容量は「実効容量」と呼ばれ、カタログの蓄電容量とは別の数字です。

では、実際どのくらい使えるのか。国の補助金事業でSII(環境共創イニシアチブ)に登録された家庭用蓄電システム166製品の公開データ(蓄電容量と初期実効容量が全製品分記載されています)を全数集計しました。

SII登録166製品の実効率(初期実効容量÷蓄電容量)数値
平均83.0%
中央値84.8%
最小73.0%
最大91.9%

つまり平均的な製品では、カタログ容量の約17%は最初から使えません。そして最小73.0%と最大91.9%——製品によって19ポイントの開きがあります。同じ「10kWhクラス」を買ったつもりでも、使える電気が2割近く違うことがある。この記事では、その実例と、実効容量を踏まえた容量の選び方を解説します。

SII登録蓄電池とは

「SII登録蓄電池」と呼ばれるリストは2つあります。どちらもSII(一般社団法人 環境共創イニシアチブ)が公開していて、全製品の初期実効容量が載っています。

リスト制度製品数(2026年9月3日)使う場面入手方法
DR家庭用蓄電池事業の補助対象蓄電システム一覧経済産業省・令和7年度補正(2026年5月29日に公募終了)8社・166製品補助金基準額と「払っていい上限」の計算。本記事の集計の土台SIIのDR事業サイトで型番検索・CSV公開
蓄電システム登録済製品一覧環境省・令和8年度ZEH事業14社・240製品東京都の助成(10月1日以降)やみらいエコ住宅など、SII登録機器を要件にする補助金の対象確認ZEH補助金公式サイト(zehweb.jp)で検索・CSVダウンロード

ZEH事業のリストはDR事業の8社に、テスラ・住友電気工業・日本産業・ダイヤゼブラ電機・スマートソーラー・デルタ電子の6社が加わります。登録日は2026年5月20日が207製品、6月19日が11製品、7月31日が22製品(テスラのPowerwall 3を含む)です。見積もりの型番がどちらのリストにあるかで、使える補助金が変わります(蓄電池の補助金)。

蓄電池の実効容量(初期実効容量)とは

蓄電池のカタログには複数の「容量」が載っています。整理するとこうなります。

  • 蓄電容量(定格容量):電池セルとして蓄えられる電気の総量。カタログの見出しに使われる数字
  • 初期実効容量:設置した初期状態で、実際に充放電に使える容量。JIS C 4413に基づく条件で測定され、SIIの登録データに全製品分が記載されています

差が生まれる主な理由は2つです。

  1. リチウムイオン電池は完全な満充電・完全放電を繰り返すと劣化が早まるため、メーカーは容量の一部をあえて使わない制御をかけています
  2. 電池に貯まる電気は直流で、家庭で使うには交流への変換が必要です。ここでも数%の損失が出ます。

重要なのは、SII自身がこの登録値について「製品HP、カタログ等に掲載されている値とは異なる」と注記していることです。カタログの見出しの数字だけで製品を比べると、実際に使える電気の比較にはならない——これが本記事の出発点です。

SII登録蓄電池のメーカー別の実効率一覧

登録166製品を、メーカー別に集計した結果です。平均が最も高いハンファジャパンの内訳は ハンファ(Qセルズ)蓄電池の価格 にまとめています。

メーカー登録製品数実効率の平均実効率の幅
ハンファジャパン488.5%88.3〜88.7%
ニチコン3687.1%80.8〜91.9%
シャープ1085.7%85.3〜87.0%
京セラ685.5%85.5%(全製品同一)
オムロン2185.1%84.1〜86.2%
エリーパワー484.8%84.4〜85.2%
長州産業2183.9%73.0〜86.2%
パナソニックEW6478.5%73.0〜88.7%

先に釘を刺しておきます。この表は「実効率が低いメーカーは劣る」という表ではありません。実効容量はJIS規格の測定条件に基づく数値で、電池をどこまで深く使うかはメーカーの設計思想(長寿命重視か、容量重視か)の違いでもあります。深く使わない設計は、その分だけ劣化に対して保守的だとも読めます。

この表の正しい使い方は優劣を決めることではなく、「カタログ容量どうしの比較は当てにならない」と知ること。そのうえで、比較の基準を次の章のように実効容量に切り替えることです。

令和8年度ZEH事業の240製品で見ると

もう1つのリストでも同じ集計をしました。240製品の実効率は平均84.2%(中央値85.5%)、最高は住友電気工業の94.8%(7.7kWh・実効7.3kWh)、最低は長州産業のハイブリッド型73.0%(12.6kWh・実効9.2kWh)です。

順位メーカー登録製品数実効率の平均最小〜最大
1位テスラ193.8%93.8〜93.8%
2位住友電気工業693.0%87.5〜94.8%
3位日本産業888.9%88.3〜90.6%
4位ハンファジャパン488.5%88.3〜88.7%
5位ダイヤゼブラ電機688.3%88.3〜88.3%
6位京セラ1587.2%85.5〜88.9%
7位ニチコン3887.1%80.8〜91.9%
8位オムロン3085.4%84.1〜86.6%
9位長州産業3284.9%73.0〜88.3%
10位シャープ2584.8%80.9〜87.5%
11位エリーパワー484.8%84.4〜85.2%
12位スマートソーラー583.6%82.6〜85.6%
13位デルタ電子283.2%82.5〜83.8%
14位パナソニック6478.4%73.0〜88.7%

出典

出典:SII「令和8年度 蓄電システム登録済製品一覧」(ZEH補助金公式サイト公開CSV・2026年9月3日取得・240製品)を当サイトが集計。テスラは1製品のみ。

8社の順序(ハンファ・京セラ・ニチコンが上位、パナソニックが下位)はDR事業のリストと同じで、6社が加わっても構図は変わりません。

同じ「10kWhクラス」でも、使える電気は1.8kWh違う

実例を見てください。登録データのうち、蓄電容量9.5〜10.5kWhの製品を実効率順に並べた上下の抜粋です。

製品(型番)蓄電容量初期実効容量実効率
ニチコン ESS-T5L1/T6L19.9kWh9.1kWh91.9%
ニチコン ESS-E1L19.7kWh8.6kWh88.7%
パナソニックEW PLJ-RE31B098 等9.8kWh7.3kWh74.5%

カタログ上は9.8kWhと9.9kWh——ほぼ同じ容量に見えます。しかし実際に使える電気は9.1kWhと7.3kWh、差は1.8kWh(約25%)です。毎晩1.8kWhの差が10年続けば約6,600kWh。買わずに済む電気の価値(27.45円/kWh・国の想定値)で換算すれば、約18万円分の電気に相当する差です。

 

だからこそ、見積もりを比較するときは、総額をカタログ容量で割るのではなく、総額を初期実効容量で割った「円/実効kWh」で比べてください。仮に同じ150万円(税抜)なら、実効9.1kWhの製品は16.5万円/実効kWh、実効7.3kWhの製品は20.5万円/実効kWh——「同じ値段で同じ容量」に見えた2つの見積もりの実力差が、この計算で初めて見えます。なお価格そのものの適正かの確認(1kWhあたり3つの水準)は 家庭用蓄電池の価格相場 で解説しています。

導入の際に損をしないためには相見積もりが必要

そもそも見積もりをまだ出していない方へ、重要なことをお伝えします。必ず相見積もりを出してください。

経済産業省の検討会は、補助事業を通した価格(約12.1万円/kWh)と市場の標準水準(17〜22万円/kWh)に開きがあると公表しています。10kWhなら121万円と170〜220万円。49万円以上の差額です。そしてこれは機器のグレードではなく、「どこから買ったか」で生まれている差です。

 

だからこそ、相見積もりが必要です。そこで便利なのが「エコ×エネの相談窓口」です。おすすめする理由は導線が圧倒的にわかりやすいので迷わないですし、規模も大きいので安心だからです。

個人でやるのは大変な「蓄電池の相見積もり」を楽にできるので、価格面で損をするリスクを限りなく減らせます。見積もりも相談も完全無料で、費用は一切かかりません。

蓄電池の容量の選び方

実効容量の知識を前提に、そもそも何kWhを選ぶべきか。難しい理論は不要で、以下を参考にしてください。

水準①:太陽光の余剰=蓄電池に貯める電気の上限

蓄電池に貯める電気の源は、太陽光発電の余剰(発電したが使わなかった分)です。国の実測データ(調達価格等算定委員会・2026年2月)では、住宅用太陽光の年間発電量は5kWで約6,176kWh、うち余剰は平均64.8%=約4,002kWh。1日平均に直すと約11kWhです。ただしこれは年平均で、日射の少ない季節・天候の日はこれを大きく下回ります。カタログ容量ではなく実効容量ベースで、この余剰の範囲に収まる容量が「貯め切れる」サイズです。太陽光が5kWより小さい家庭は、比例して上限も下がります。

水準②:夜間に実際使う量=貯めた電気の使い道の上限

貯めても夜に使い切れなければ意味がありません。夜間の使用量は世帯によって大きく違うので、平均値ではなく自宅の実測で確認してください。電力会社の会員ページやスマートメーターの30分値で、日没後〜翌朝の使用量を1週間分見れば十分です。その量を実効容量がやや上回るくらいが、毎日使い切れるサイズです。

失敗のパターンは、この2本の水準から外れたケースに集約されます。夫婦2人世帯に15kWh級——水準②を大きく超えて持て余す。5kWhの実効約4kWh——水準②に届かず停電時も心もとない。「大は小を兼ねる」は蓄電池では割高を意味するだけなので、2本の水準の内側で選ぶのが基本です。

何kWhの蓄電池でどれくらい使えるか

「10kWhでどれくらい使えるか」は、実効容量を使う電力で割れば出ます。停電時に冷蔵庫・照明・テレビ・スマホ充電をまかなう合計を430W程度とすると(メーカー公式の試算条件と同じ)、目安はこうです。

カタログ容量実効容量の目安(実効率83%)430Wで使える時間1,000W(エアコン併用)で使える時間
4〜5kWh級約3.3〜4.2kWh約8〜10時間約3〜4時間
10kWh級約8.3kWh(登録製品の中央値)約19時間約8時間
15kWh級約12.5kWh約29時間約12時間
20kWh級約16.6kWh約39時間約17時間

実効率は製品で73〜92%まで違うので、検討中の型番の初期実効容量を登録リストで引いてから計算してください。停電時の持ち時間の詳しい計算は蓄電池は停電時に何時間もつかで扱っています。

SII登録リストの現在地

「SII登録蓄電池」が注目されてきた本来の理由は、国のDR家庭用蓄電池事業(補助金は初期実効容量1kWhあたり3.55万円または3.75万円・上限60万円)の対象製品リストだったからです。ただしこの事業は2026年5月29日に予算到達で公募を終了し、再開予定はありません。蓄電池だけを設置して国から補助を受けられる制度は、現在ありません。

ただしSIIの登録リスト自体は失効していません——国土交通省の「みらいエコ住宅2026事業」は、蓄電池(96,000円/戸)の対象製品を「SIIにおいて令和4年度以降登録・公表されている蓄電システム」と定めており、東京都の助成もSII登録機器であることを要件にしています。制度ごとの現在地は 蓄電池の補助金 にまとめました。

それでもこのリストには残る価値があります。全製品の初期実効容量が同一条件で公開されている、唯一の横断データだという点です。カタログではメーカーごとに表記がばらつく「実際に使える容量」を、166製品並べて比較できます。本記事の集計もすべてこの公開データ(DR事業166製品と令和8年度ZEH事業240製品)に基づいています。メーカー別の詳細(型番ごとの実効容量・払っていい上限)は 蓄電池メーカーランキング|国の登録データ166製品で比較 にまとめています。

SII登録蓄電池・実効容量のよくある質問

Q. 実効容量とは何ですか?ひとことで言うと?

カタログの蓄電容量のうち、実際に充放電に使える容量です。電池保護のための制御と変換損失のぶん目減りし、SII登録166製品の実測では平均でカタログ容量の83.0%でした。

Q. 初期実効容量と実効容量の違いは何ですか?

「初期実効容量」は設置した初期状態でJIS C 4413の条件で測った、実際に使える容量で、SIIの登録リストに全製品分が載っています。「実効容量」は同じ意味で使われることが多い一般名で、経年で減っていく実際の値を含めて指すこともあります。製品比較に使うのは登録リストの初期実効容量です。

Q. 製品比較はカタログ容量と実効容量のどちらでするべきですか?

実効容量です。使える電気の量も、見積もりの単価計算(円/実効kWh)も、実効容量ベースで比べてください。カタログ容量は同じでも実効容量が25%違う実例があります。

Q. 実効率が低いメーカーは避けるべきですか?

いいえ。実効率は設計思想(電池をどこまで深く使うか)の違いでもあり、単独では優劣を意味しません。判断は「総額÷実効容量」の単価と、保証条件(年数・容量下限)をセットで行ってください。保証の横断比較は 蓄電池の寿命 の記事で扱っています。

Q. 実効容量は使っているうちにさらに減りますか?

減ります。ここでの数字はあくまで「初期」実効容量で、経年劣化は別に進みます。国の検討会は蓄電池の容量が20年で初期の80%程度になる想定を置いています。劣化とメーカー保証の下限値については 蓄電池の寿命・耐用年数 で詳しく解説しています。

まとめ

蓄電池選びの容量の議論は

  1. カタログ容量ではなく初期実効容量で比べる(平均83%・製品差19ポイント)
  2. 見積もりは円/実効kWhで比べる
  3. 容量は「太陽光の余剰」と「夜間の使用量」を水準として、その内側で選ぶ

この3点に集約されます。カタログの大きな数字は、実際に使える電気を保証しません。幸い、166製品すべての「本当に使える容量」は公開データで確認できます。契約前に、検討中の型番の初期実効容量を一度確かめてください。

 

そもそも見積もりをまだ出していない方は必ず相見積もりを出してください。

経済産業省の検討会は、補助事業を通した価格(約12.1万円/kWh)と市場の標準水準(17〜22万円/kWh)に開きがあると公表しています。10kWhなら121万円と170〜220万円。49万円以上の差額です。そしてこれは機器のグレードではなく、「どこから買ったか」で生まれている差です。

 

だからこそ、相見積もりが必要です。そこで便利なのが「エコ×エネの相談窓口」です。おすすめする理由は導線が圧倒的にわかりやすいので迷わないですし、規模も大きいので安心だからです。

個人でやるのは大変な「蓄電池の相見積もり」を楽にできるので、価格面で損をするリスクを限りなく減らせます。見積もりも相談も完全無料で、費用は一切かかりません。


調査・執筆:成田 風輝(ソーラー見積もりナビ運営者)。SIIが公開する登録データ166製品を表計算とスクリプトで全数集計し、公募要領の計算式で1製品ずつ検算しています。集計元データは誰でも取得できるため、第三者が同じ手順で再現できます(運営者情報)。本記事の実効容量データは、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)「令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業」の補助対象蓄電システム登録データ(8メーカー166製品)を当サイトが全数集計したものです。発電量・余剰比率は経済産業省 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(2026年2月公表)にもとづきます。特定メーカー・特定販売店からの広告料や情報提供は受けていません。