蓄電池は停電時に何時間・何日もつか|容量別の早見表・切り替え方・使えないケースを実効容量で計算【2026年】

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「10kWhの蓄電池なら停電時も安心」——この判断には落とし穴があります。

  1. 10kWhと書かれた蓄電池で実際に使えるのは10kWhではありません(平均はカタログ容量の83%)。
  2. 持ち時間は容量だけでなく「停電中に何を動かすか」で3倍以上変わります。

この記事は、持ち時間を雰囲気ではなく客観的な計算に基づいて答えます。式は単純です。

持ち時間(時間)= 実効容量(kWh)÷ 同時に使う電力(kW)

実効容量には、国の補助金事業(SII)に登録された実在製品の登録値を使います。カタログの数字で計算した早見表より、現実に近い答えが出ます。

蓄電池は停電時に何時間もつか

まず「同時に使う電力」を3段階に置きます(機種・使い方で変わる目安です。考え方はあとで説明します)。

  1. 命綱モード 約0.2kW:冷蔵庫+最小限の照明+スマホ充電・Wi-Fiルーター
  2. 標準モード 約0.5kW:上記+テレビ+扇風機や電気毛布など季節家電を少し
  3. 普段どおり 約1.0kW:上記+エアコン1台を控えめに運転

SII登録の実在製品の実効容量で計算した持ち時間です。

実効容量(実在製品の例)命綱 0.2kW標準 0.5kW普段どおり 1.0kW
4.2kWh(カタログ4.9kWh級)約21時間約8時間約4時間
6.5kWh(カタログ7.4kWh級)約32時間約13時間約6時間半
7.3kWh(カタログ9.8kWh級・実効率74.5%の製品)約36時間約14時間半約7時間
9.1kWh(カタログ9.9kWh級・実効率91.9%の製品)約45時間約18時間約9時間
12.9kWh(カタログ14.9kWh級)約64時間約26時間約13時間
18.2kWh(カタログ19.9kWh級)約91時間約36時間約18時間

※満充電から計算した理論値。停電時の実際の残量、変換ロス、機器の停電時出力の上限により短くなります。

この表には、カタログ比較では見えない事実があります。

3行目と4行目——カタログ上はどちらも「10kWhクラス」なのに、命綱モードの持ち時間は約36時間と約45時間、9時間も違います。つまり何が言いたいかというと、停電対策として蓄電池を選ぶなら、比較すべきはカタログ容量ではなく実効容量です(製品ごとの実効容量は 蓄電池の実効容量とは|SII登録166製品で実測 にまとめています)。

停電時の持ち時間を決める「同時に使う電力」の考え方

容量は買った時点で固定ですが、消費側は停電中の行動で大きく変えられます。目安として、冷蔵庫は運転平均で100W前後、LED照明は1灯10W前後、Wi-Fiルーターやスマホ充電は数十W、テレビは100W前後、電子レンジやドライヤーやIHは1,000Wを超えます——正確な数字は機種の銘板や取扱説明書で確認できます。

重要なのは桁の感覚です。冷蔵庫・照明・通信という「命綱」は全部合わせても0.2kW程度。一方、熱を作る家電(レンジ・ドライヤー・湯沸かし)は1台で命綱5個分。停電中にドライヤーを10分使う電気で、Wi-Fiルーターなら丸一日動きます。持ち時間を延ばす技術は単純で、熱を作る家電を蓄電池から使わないことです。例えば調理はカセットコンロを使うといったイメージですね。

参考として、大規模停電はどのくらい続くのか。2018年の北海道胆振東部地震では道内ほぼ全域が停電し、大部分の復旧までおよそ2日を要しました。「命綱モードで48時間」を目安にすると、実効容量9kWh前後が一つの基準線になります。逆に、スマホと照明だけ守れればよいならポータブル電源という選択肢もあります(蓄電池はやめたほうがいい?で整理しています)。

停電対策で容量の前に確認すべき2つの仕様

持ち時間の計算より先に、停電時に「どこで・どれだけ」電気が使えるかは機種の仕様で決まっています。

  1. 特定負荷型:あらかじめ決めた回路(冷蔵庫のあるキッチン+リビングの一部など)だけに給電。停電時に使える出力も小さめに制限される機種が多い
  2. 全負荷型:家全体に給電。200V機器(エアコン・IH・エコキュート)まで動かせる機種はこちらに多い

見落としやすいのは停電時の出力上限です。実効容量が大きくても、停電時出力が小さい機種では同時に使える家電の数が絞られます。

「停電時にエアコンを使いたい」なら

  1. 全負荷型か
  2. 200V対応か、
  3. 停電時出力が足りるか

この3点をカタログの仕様表で確認してください。

太陽光と連携すると停電時の「時間」が「日数」に変わる

ここまでの計算は蓄電池単体(満充電から使い切るまで)の話です。太陽光発電と連携できる構成なら、話が変わります。晴れた日中は太陽光で家を動かしながら蓄電池に充電し、夜はその電気で過ごす——このサイクルが回る限り、持ち時間は「何時間」ではなく「何日でも」に近づきます。5kWの太陽光は晴天の日中、家庭の消費を大きく上回る電気を作るからです。

逆に言うと、停電対策として蓄電池を最大限機能させる前提は太陽光とのセットです。悪天候が続けば充電できないので万能ではありませんが、「夜の分だけ貯めればよい」設計になるぶん、必要容量の考え方も変わります。なお、電気自動車を持っているならV2Hという選択肢もあり、車載電池は家庭用蓄電池の2〜6倍の容量があります(太陽光発電×電気自動車|V2H・トライブリッドは得か)。

停電時の蓄電池の使い方

停電時の動きは機種と配線で決まります。確認するのは次の4点です。

  1. 切り替えは自動か手動か:現行の家庭用蓄電システムの多くは停電を検知して自動で自立運転に切り替わりますが、機種によっては本体やリモコンの操作、分電盤の切替スイッチが必要です。契約前に「停電したら何秒で、誰が何をするか」を説明書で確認してください
  2. 特定負荷型は決められた回路しか使えない:停電時に電気が来るのは、工事の時に選んだコンセントや回路だけです。冷蔵庫のある回路を入れ忘れると、停電時に冷蔵庫が動きません
  3. 停電時の出力上限がある:たとえば停電時の出力が2kVAなら、エアコンと電子レンジの同時使用で止まります。全負荷型でも「家中の全部を同時に」は前提にできません
  4. 使えないケース:蓄電池の残量がゼロ、地震で機器や配線が損傷、水没・浸水時(感電防止で停止)、ブレーカーが落ちたまま、の4つが典型です。太陽光がある家は昼間に充電されるので、残量ゼロは夜間に起こります

太陽光だけで蓄電池がない家でも、昼間はパワーコンディショナーの自立運転用コンセント(多くの機種で最大1.5kW)から電気を使えます。ただし夜は使えず、切り替えは手動です。

太陽光・蓄電池の導入時に重要なこと

設置費用を左右するのは、業者の上乗せ料金です。製品のグレードによるものではありません。だからこそ、同じ製品・同じ条件で相見積もりことがとても重要です。

 

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蓄電池の停電時の持ち時間のよくある質問

Q. 10kWhの蓄電池で停電時にエアコンは使えますか?

容量的には、実効9kWh前後の製品でエアコン1台を控えめに使う生活が9時間程度です。ただし容量より先に、機種が全負荷型・200V対応か、停電時出力が足りるかで可否が決まります。特定負荷型・100V給電の機種では容量が余っていてもエアコンは動かせません。

Q. 蓄電池は何kWhあれば停電対策として十分ですか?

「命綱モード(冷蔵庫+照明+通信=約0.2kW)で48時間」を基準にするなら実効容量9kWh前後、つまりカタログ10kWhクラスが目安です。太陽光と連携するなら「夜間の分だけ」でよくなるため、より小さい容量でも回ります。基準の置き方は世帯の事情(在宅医療機器の有無など)で変えてください。

Q. カタログの「10kWh」で計算してはいけないのですか?

いけません。実際に使える初期実効容量はカタログ容量の平均83%(SII登録166製品の集計)で、最小73%の製品もあります。同じ10kWhクラスで持ち時間が9時間違う実例が上の表のとおりです。

Q. 停電したら自動で切り替わりますか?

機種によります。自動切替の機種は数秒〜数十秒で自立運転に移行しますが、手動切替の機種では操作が必要です。切替方式と操作手順は、購入前より「購入後に一度練習しておく」ことが実際の停電で効きます。

Q. 蓄電池は停電時に何日もちますか?

蓄電池だけなら、実効容量を1日の使用量で割った日数です。実効8kWhを1日4kWh(冷蔵庫・照明・通信・炊飯の最低限)で使えば2日、太陽光と連携して昼間に充電できれば、晴れの日が続く限り日数の制限はなくなります。曇りが続く冬は充電が追いつかないので、使用量を絞る前提です。

Q. 太陽光だけで、停電時に蓄電池なしで電気は使えますか?

使えます。パワーコンディショナーの自立運転モードに切り替えると、専用コンセントから最大1.5kW程度(機種による)を昼間だけ使えます。冷蔵庫と携帯の充電、炊飯器1台までが目安で、夜間は使えません。夜も使うには蓄電池が要ります。

まとめ

停電時の持ち時間は

  1. カタログではなく実効容量で
  2. 同時に使う電力を決めて
  3. 割り算する

これで想定できます。そして機種選びでは容量の前に、特定負荷か全負荷か・停電時出力・切替方式の3仕様を確認してください。

営業トークの「これなら停電でも安心ですよ」には、「実効容量は何kWhで、停電時出力は何kVAですか」と聞き返してください。この2つに即答できない提案は、比較の土俵に載せる前に情報が足りていません。

 

そして、導入を考えているなら、必ず相見積もりしてください。

設置費用を左右するのは、業者の上乗せ料金です。製品のグレードによるものではありません。だからこそ、同じ製品・同じ条件で相見積もりことがとても重要です。

 

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出典


調査・執筆:成田 風輝(ソーラー見積もりナビ運営者)。SIIが公開する登録データ166製品を表計算とスクリプトで全数集計し、公募要領の計算式で1製品ずつ検算しています。集計元データは誰でも取得できるため、第三者が同じ手順で再現できます(運営者情報)。本記事の実効容量は、SII(環境共創イニシアチブ)「令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業」の補助対象蓄電システム登録データ(8メーカー166製品)にもとづく実在製品の登録値です。持ち時間は満充電からの理論値であり、家電の消費電力は機種により異なります。特定メーカー・特定販売店からの広告料や情報提供は受けていません。