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東京都の蓄電池補助金は、全国の自治体で最も高い水準です。ただし「最大120万円」という数字だけを見ると、実際に受け取れる額を読み違えます。
国のZEH事業に登録されている240製品それぞれで計算すると、助成額の中央値は98万円。上限の120万円に届くのは240製品のうち92製品だけでした。蓄電容量が12kWh以上ないと上限には届きません。
そしてもうひとつ、時期の問題があります。2026年10月1日から、対象になる機器の条件が変わります。9月30日までに事前申込をするかどうかで、選べる製品の範囲が変わります。
この記事では、東京都と62区市町村すべての情報を整理したうえで、98万円の助成を受けたときに元が取れるのかを国の公表値で計算します。
東京都の蓄電池補助金はいくらか
令和8年度の「家庭における蓄電池導入促進事業」(クール・ネット東京)の助成額です。
| 区分 | 助成額 | 上限 |
|---|---|---|
| 蓄電池パッケージ | 蓄電容量 10万円/kWh | 120万円/戸 |
| 蓄電池ユニットの増設 | 蓄電容量 6万円/kWh | 72万円/戸 |
| DR実証に参加する場合 | 1台あたり10万円または15万円を加算 | — |
出典:クール・ネット東京「令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業」(執筆時点)。助成額は算定額と助成対象経費(税抜)を比べて小さいほうになります。
「上限120万円」がひとり歩きしていますが、これは蓄電容量12kWhの製品で初めて届く額です。実際にどれくらいの製品が届くのか、国のZEH事業に登録された240製品それぞれで計算しました。
| 蓄電容量 | 登録製品数 | 都の助成額(中央値) |
|---|---|---|
| 6kWh未満 | 20製品 | 49.0万円 |
| 6〜8kWh | 69製品 | 67.0万円 |
| 8〜10kWh | 42製品 | 97.5万円 |
| 10〜12kWh | 17製品 | 112.0万円 |
| 12kWh以上 | 92製品 | 120.0万円(上限) |
出典
- クール・ネット東京「家庭における蓄電池導入促進事業」
- 世田谷区の公式ページ
- 江戸川区の公式ページ
出典:環境省・令和8年度ZEH事業のSII登録済製品一覧(240製品・2026年9月3日取得)をもとに、蓄電容量×10万円・上限120万円で当サイトが計算。
240製品全体では、助成額の中央値は98万円、最小は32万円です。上限120万円に届くのは92製品(38%)で、いずれも蓄電容量12kWh以上の製品でした。
10kWh級(蓄電容量9.5〜10.5kWh)は43製品あり、助成額の中央値は98万円です。よく検討される容量帯なので、この記事ではこの98万円を基準に話を進めます。
東京都の補助を受ける条件
金額の大きさに比べて、条件は見落とされがちです。都の要綱で定められている条件です。
- 施工業者と契約を結ぶ「前」に事前申込をすること。事前申込に必要な書類は設置工事の見積書です
- 現金の受け渡しによる取引は対象外。令和8年度から金融機関発行の証明書(振込明細・ローン契約明細など)の提出が必須になりました
- 都内の戸建住宅・集合住宅であること
- SII登録機器であること
ここで、東京都だけの設計をひとつ紹介します。
太陽光発電がない家でも申請できます。都の要綱では、太陽光が設置済みか同時設置であることが原則ですが、太陽光がない場合でも東京電力エナジーパートナーのDRメニューに契約すれば対象になります。神奈川県のように「太陽光との同時導入」を必須にしている自治体が多いなかで、これは珍しい設計です。なお太陽光そのものにも別の助成があり、今ある家なら1kWあたり15万円が出ます(東京都の太陽光補助金はいくら?)。蓄電池だけを検討している人にとっては、東京都が数少ない選択肢になります。
逆に落とし穴もあります。契約を先に済ませてから申し込む、現金で払う——この2つはどちらも対象外です。業者から「先に契約を」と言われたら、そこで止めてください。補助金を受け取れなくなります。
導入の際に損をしないためには相見積もりが必要
また、そもそも補助金より重要なことがあります。相見積もりです。
経済産業省の検討会は、補助事業を通した価格(約12.1万円/kWh)と市場の標準水準(17〜22万円/kWh)に開きがあると公表しています。10kWhなら121万円と170〜220万円。49万円以上の差額です。そしてこれは機器のグレードではなく、「どこから買ったか」で生まれている差です。
だからこそ、相見積もりが必要です。そこで便利なのが「エコ×エネの相談窓口」です。
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2026年10月1日から対象機器が変わる
検討している時期によって結論が変わる注意点があります。クール・ネット東京の公式告知です。
令和8年10月1日以降に事前申込をする場合、助成対象機器の要件が変わります。国の「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(戸建て住宅・集合住宅のZEH化・省CO2化促進事業)」における補助対象機器として、SIIによって令和8年度の登録済製品一覧に登録された機器のみが助成対象となります。
整理すると、こうなります。
| 事前申込の時期 | 対象になる機器 |
|---|---|
| 〜2026年9月30日 | 令和4年度以降にSII登録された機器(範囲が広い) |
| 2026年10月1日〜 | 令和8年度の登録済製品一覧にある機器だけ(14社・240製品) |
※2026年4月1日から6月30日までに契約締結または契約・工事完了した事業は除きます。
令和8年度のリストは14社・240製品です。パナソニック64製品、ニチコン38製品、長州産業32製品、オムロン30製品、シャープ25製品、京セラ15製品が中心で、ここにテスラ・住友電気工業・日本産業・ダイヤゼブラ電機・スマートソーラー・デルタ電子・エリーパワー・ハンファジャパンが加わります。
検討中の型番がこのリストにあるかどうかで、申込時期の判断が変わります。リストにない機器を選ぶなら9月30日までに事前申込を済ませる必要があり、リストにある機器なら10月以降でも問題ありません。型番別のデータはSII登録蓄電池の一覧と実効容量にまとめています。
区市町村の上乗せ補助
都の助成に区市町村の補助を重ねて使えます。ただし「区の補助もある」とは限りません。東京都の全62区市町村を公式ページで調べました。
| 状況 | 数 | 内訳 |
|---|---|---|
| 蓄電池の補助がない | 27 / 62 | 制度自体がない24に加え、練馬区・板橋区・武蔵野市は太陽光だけで蓄電池が対象外 |
| 今すぐ申し込める | 24 | 23区のうち16区、多摩は8市 |
| 今年度はもう終わった | 9 | 千代田・台東・品川・八王子・三鷹ほか |
| 受付はこれから | 4 | 板橋10月1日・東村山11月2日・日の出11月2日・昭島12月1日 |
4割を超える自治体で、蓄電池の上乗せは存在しません。世田谷区は令和8年度から対象を外し、江戸川区も「太陽光システム及び定置型蓄電池単独での補助金メニューは令和7年度に終了」と公式に書いています。
金額が付く自治体でも、都とは桁が違います。中野区の10万円が最大で、多くは1kWhあたり1万円前後か定額5万円です。都の10万円/kWhと比べると10分の1の水準になります。
つまり東京で蓄電池を買うなら、金額のほぼすべてが都の助成で決まります。区市町村の上乗せを当てにした資金計画は立てないほうが安全です。
東京都62区市町村の補助と受付状況
| 自治体 | 太陽光 | 蓄電池 | 受付状況 |
|---|---|---|---|
| 千代田区 | 経費の20%(住宅メニュー全体で上限100万円) | 経費の20%(同上) | 終了(予算到達) |
| 中央区 | 10万円/kW(上限35万円・エコアクト実施で15万円/kW上限42万円) | 1万円/kWh(上限10万円・エコアクト実施で1.5万円/kWh上限12万円) | 受付中 |
| 港区 | 10万円/kW(上限40万円) | 4万円/kWh(上限20万円) | 受付中 |
| 新宿区 | 10万円/kW(上限30万円) | 1万円/kWh(上限10万円) | 受付中(第2期) |
| 文京区 | 7万円/kW(上限35万円) | 2万円/kWh(上限10万円) | 受付中 |
| 台東区 | 5万円/kW(戸建て上限20万円) | 1万円/kWh(上限10万円) | 終了(前期・後期とも) |
| 墨田区 | 5万円/kW(上限20万円) | 工事費の10%(上限5万円) | 受付中 |
| 江東区 | 5万円/kW(上限20万円・蓄電池と同時なら6万円/kW上限24万円) | 1万円/kWh(上限10万円・太陽光と同時なら2.5万円/kWh上限20万円) | 受付中 |
| 品川区 | 5万円/kW(区民は上限20万円) | 3万円/kWh(上限30万円) | 終了(区民向けは予定件数超過) |
| 目黒区 | 3万円/kW(上限15万円) | 本体価格の1/3以下(上限7万円) | 受付中 |
| 大田区 | 単独の制度なし(住宅リフォーム助成の対象工事・助成は対象額の10%上限20万円) | 単独の制度なし(同上) | 受付中 |
| 世田谷区 | — | — | 制度なし |
| 渋谷区 | — | — | 制度なし |
| 中野区 | 15万円(定額) | 10万円(定額) | 受付中(前期94.2%消化) |
| 杉並区 | 4万円/kW(上限12万円) | 5万円(定額) | 受付中(申込率32%) |
| 豊島区 | 2万円/kW(上限8万円) | 1万円/kWh(上限5万円) | 受付中(38%) |
| 北区 | 8万円/kW(上限20万円・区内業者なら9.6万円/kW上限24万円) | 1万円/kWh(上限10万円・区内業者なら1.2万円/kWh上限12万円) | 受付中 |
| 荒川区 | 2万円/kW(区内業者は上限30万円・区外25万円) | 5千円/kWh(区内業者は上限15万円・区外10万円) | 受付中(44%) |
| 板橋区 | 2万ポイント/kW(最大8万ポイント) | — | 受付前(10月1日から) |
| 練馬区 | 8万円(定額) | — | 受付中(予算残2,153万円) |
| 足立区 | 6万円/kW(上限24万円・区内事業者なら7.2万円/kW上限28.8万円) | 上限5万円(区内事業者なら6万円) | 第2期受付中(〜9月30日) |
| 葛飾区 | 6万円/kW(上限30万円) | 経費の1/4(上限20万円) | 受付中 |
| 江戸川区 | — | — | 制度なし |
| 八王子市 | 1万円/kW(上限10万円) | 3万円(定額・太陽光と同時のみ) | 補欠枠のみ(本枠は終了) |
| 立川市 | — | — | 制度なし |
| 武蔵野市 | 3万円/kW(上限15万円) | — | 受付中 |
| 三鷹市 | 1万円/kW(上限10万円) | 5万円(定額) | 終了(8月10日時点) |
| 青梅市 | 1.5万円/kW(上限6万円) | 5千円/kWh(上限3万円) | 終了(予算到達) |
| 府中市 | 2万円/kW(上限10万円) | 2万円/kWh(上限10万円) | 受付中(執行率82%) |
| 昭島市 | 1.5万円/kW(上限6万円) | 5万円(定額) | 受付前(12月1日から) |
| 調布市 | 2万円/kW(上限10万円) | 5万円(定額) | 受付中 |
| 町田市 | — | — | 制度なし |
| 小金井市 | 3万円/kW(上限10万円) | 4万円(定額) | 終了(予算到達) |
| 小平市 | 5万円(定額) | 5万円(定額) | 終了(9月4日17時で保留申請も終了) |
| 日野市 | — | — | 制度なし |
| 東村山市 | 5万円(上限) | 5万円(上限) | 受付前(11月2日から) |
| 国分寺市 | 3万円/kW(上限15万円) | 6万円(定額) | 停止中(第2期は12月1日から) |
| 国立市 | 新築2.5万円/kW(上限12.5万円)/既存2万円/kW(上限10万円) | 4万円(定額) | 受付中 |
| 福生市 | — | — | 制度なし |
| 狛江市 | 2万円/kW(上限8万円) | 5万円(定額) | 受付中(執行率93.51%) |
| 東大和市 | — | — | 制度なし |
| 清瀬市 | — | — | 制度なし |
| 東久留米市 | — | — | 制度なし |
| 武蔵村山市 | 市内業者2万円/kW(上限7万円)/市外1.5万円/kW(上限5万円) | 市内業者1.5万円/kW(上限5万円)/市外1万円/kW(上限3万円) | 受付中(執行率62%) |
| 多摩市 | 既存住宅は市内事業者3万円/kW(上限15万円)/市外2万円/kW(上限10万円) | 経費の1/4(市内6万円・市外4万円) | 受付中 |
| 稲城市 | 2万円/kW(上限8万円) | 4万円(定額) | 受付中(36.4%) |
| 羽村市 | 経費の1/2(市内事業者11万円分・一般5.5万円分が上限) | 市内事業者は単体4万円分・併用7万円分/一般は単体2万円分・併用3.5万円分 | 受付中(予算残120.9万円) |
| あきる野市 | — | — | 制度なし |
| 西東京市 | — | — | 制度なし |
| 瑞穂町 | — | — | 制度なし |
| 日の出町 | 金額は10月下旬に公表予定 | 金額は10月下旬に公表予定 | 受付前(11月2日〜12月28日) |
| 檜原村 | — | — | 制度なし |
| 奥多摩町 | — | — | 制度なし |
| 大島町 | — | — | 制度なし |
| 利島村 | — | — | 制度なし |
| 新島村 | — | — | 制度なし |
| 神津島村 | — | — | 制度なし |
| 三宅村 | — | — | 制度なし |
| 御蔵島村 | — | — | 制度なし |
| 八丈町 | — | — | 制度なし |
| 青ヶ島村 | — | — | 制度なし |
| 小笠原村 | — | — | 制度なし |
※執筆時点で各自治体の公式ページを確認した内容です。先着順の制度が多く、状況は日々変わります。申請の前に必ず公式ページで最新の受付状況を確認してください。
表から読み取れることが3つあります。
区内・市内の業者を使うと補助が増える自治体があります。北区は1kWhあたり1万円が1.2万円に、足立区は上限5万円が6万円に上がります。荒川区も上限が10万円から15万円へ変わります。業者をどこにするかで、補助額そのものが動きます。
現金で受け取れない自治体があります。板橋区は令和8年度から「いたばしPay」のポイントに変わり、羽村市も市内の店で使えるエコポイントです。羽村市のポイントは令和9年2月28日までに使わないと失効します。
申請の順序が都と逆の自治体が多数あります。都は契約前の事前申込ですが、区市町村では工事が終わってから申請する事後申請が主流です。両方を使うなら、先に都へ事前申込を出し、交付決定を待って工事に入り、工事が終わってから区市町村に申請する順番になります。厳しいほうの都に合わせて動いてください。
98万円が出ても、蓄電池の元は取れるのか
ここからが本題です。助成額の大きさだけでは、買っていいかは決まりません。
蓄電池で得をする仕組みは単純です。太陽光で余った電気を売らずに貯めて、夜に使うこと。その差額が蓄電池の働き代になります。
| 項目 | 単価 | 出所 |
|---|---|---|
| 売る(東京電力の卒FIT買取) | 8.50円/kWh(税込) | 東京電力エナジーパートナー 再エネ買取標準プラン |
| 自分で使う | 27.45円/kWh | 経済産業省 調達価格等算定委員会 |
| 差額=蓄電池の働き代 | 約19円/kWh | — |
自家消費の27.45円というのは、太陽光でまかなえば買わずに済む電気代のことで、国が回収年数を計算するときに使っている値です(大手電力の直近10年の家庭用電気料金の平均に消費税を加えたもの)。
10kWh級の蓄電池で実際に使えるのは8〜9kWhです。登録240製品のうち10kWh級43製品の初期実効容量は中央値8.30kWh。毎日使い切っても年間で約3,100kWhです。3,100kWh × 19円 = 年間約5.9万円。これが得の上限になります。
次に買値です。国の補助事業を通した実勢価格は12.1万円/kWh、市場で普通に買うと17〜22万円/kWhというのが経済産業省の公表値です。10kWh級なら121万円と170〜220万円という差になります。
| 買値(10kWh級) | 都の助成中央値98万円を引くと | 回収年数 |
|---|---|---|
| 121万円(補助事業の実績水準) | 23万円 | 約4年 |
| 170万円(市場の下限) | 72万円 | 約12年 |
| 220万円(市場の上限) | 122万円 | 約21年 |
先ほど計算した年間の得「5.9万円」で割った単純回収年数です。維持費と将来の電気料金の変動は含みません。
同じ補助金を受けても、買値によって回収は4年にも21年にもなります。蓄電池の容量保証は10〜15年が主流なので、21年は保証期間を超えています。
つまり東京都で検討するなら、助成が出ることより、いくらで買うかのほうが結果を大きく左右します。条件別の判断は蓄電池はやめたほうがいい?で扱っています。
なお、この計算が成り立つのは卒FIT後の家庭です。FIT期間中(売電24円)は自家消費との差額が3円ほどしかないので、蓄電池を入れても得はほとんど増えません。
都の助成は「払っていい上限」の7割
補助金の記事でほとんど書かれないことを、ひとつ書いておきます。
国は蓄電池の補助事業で、支払っていい価格の上限を定めていました。蓄電容量1kWhあたり12.5万円(ハイブリッド型なら定格出力×2万円、逆潮流認証があればさらに定格出力×1万円を加算)。制度は2026年5月に終わりましたが、計算式は今も使えます。
登録240製品それぞれで、この上限と都の助成額を並べて計算しました。
| 蓄電容量 | 払っていい上限(中央値) | 都の助成(中央値) | 差=自己負担 |
|---|---|---|---|
| 6〜8kWh | 95.8万円 | 67.0万円 | 28.8万円 |
| 8〜10kWh | 126.8万円 | 97.5万円 | 29.2万円 |
| 10〜12kWh | 149.3万円 | 112.0万円 | 37.3万円 |
| 12kWh以上 | 197.5万円 | 120.0万円(上限) | 77.5万円 |
都の助成は、払っていい上限の7割(中央値70.3%)を埋めます。適正な価格で買えば、自己負担は3割で済むということです。
ただし表の一番下を見てください。12kWh以上になると、助成が上限120万円で頭打ちになる一方、払っていい上限は197.5万円まで上がります。自己負担は77.5万円で、8〜10kWh帯(29.2万円)の2.6倍です。容量を大きくするほど、助成の効きは薄くなります。
そして重要なのは順序です。
- 見積もりを1kWhあたりの単価に直す
- 12.5万円+加算の範囲に収まっているか確かめる
- 収まっていた見積もりに、都の助成を乗せる
この順序を逆にすると、上限を超えた見積もりを助成金で正当化することになります。市場の標準水準は17〜22万円/kWhですから、何もしなければ上限の1.4〜1.8倍で契約することになります。98万円の助成があっても、その差は埋まりません。
型番ごとの上限額と3つの価格水準は家庭用蓄電池の価格相場にまとめています。制度ごとの現在地は蓄電池の補助金で整理しました。
東京都の蓄電池補助金のよくある質問
Q. 太陽光発電がなくても、蓄電池だけで補助を受けられますか?
受けられます。都の要綱では太陽光が設置済みか同時設置であることが原則ですが、太陽光がない場合は東京電力エナジーパートナーのDRメニューに契約すれば対象になります。「太陽光との同時導入」を必須にしている自治体が多いなかで、東京都は数少ない例外です。
Q. 2027年に蓄電池を導入しても補助金はもらえますか?
都の令和8年度事業は、設置期間が令和11年3月30日までと定められています。ただし受付の終了日は公表されておらず、予算に達した時点で締め切られます。国の蓄電池単体補助金(DR家庭用蓄電池事業)は2026年5月29日に予算到達で公募を終了し、再開予定はないと告知されました。予定の4分の1の期間で予算が尽きています。都の予算は約1,012億円(親事業の総額)と桁が違いますが、「年度末まで確実に開いている」とは考えず、検討が固まった時点で事前申込を済ませるのが安全です。
Q. 「最大120万円」がもらえるのではないのですか?
蓄電容量12kWh以上の製品でないと届きません。登録240製品のうち上限に達するのは92製品(38%)で、10kWh級なら98万円、6〜8kWh級なら67万円が中央値です。しかも助成額は算定額と助成対象経費(税抜)の小さいほうなので、機器費+工事費がこれを下回る場合はそちらが上限になります。
Q. 区の補助金と都の助成は両方使えますか?
使えます。ただし世田谷区と練馬区は令和8年度、蓄電池が補助の対象になっていません。足立区は上限5万円です。都の98万円に比べると小さいので、区の上乗せを前提にした資金計画は立てないほうが安全です。
Q. 9月30日までに何を済ませればいいですか?
事前申込です。必要書類は設置工事の見積書なので、それまでに業者を決めて見積もりを取っておく必要があります。10月1日以降の申込になると、対象機器が令和8年度のSII登録リスト(14社・240製品)にある機器だけに絞られます。
Q. 現金で払ったら本当に対象外ですか?
対象外です。令和8年度から金融機関発行の証明書(振込明細・ローン契約明細など)の提出が必須になりました。現金の受け渡しによる取引は助成対象外と要綱に明記されています。
まとめ
- 助成は蓄電容量10万円/kWh・上限120万円。240製品の中央値は98万円で、上限に届くのは92製品(12kWh以上)
- 契約前の事前申込が必要。現金払いは対象外
- 太陽光がなくても、東京電力のDRメニュー契約で対象になる
- 10月1日から対象機器が令和8年度の登録リストだけに絞られる
- 区の上乗せは当てにしない。世田谷区・練馬区は蓄電池が対象外、足立区は上限5万円
- 98万円が出ても、121万円で買えば回収4年、220万円なら21年
- 助成は払っていい上限の7割を埋める。残り3割を高値で埋めない
そして、もし蓄電池導入を考えているなら「エコ×エネの相談窓口」を必ず利用してください。
個人でやるのは大変な「蓄電池の相見積もり」を楽にできるので、価格面で損をするリスクを限りなく減らせます。見積もりも相談も完全無料で、費用は一切かかりません。
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調査・執筆:成田 風輝(ソーラー見積もりナビ運営者)。公的機関が公開する一次資料を自分で取得し、計算過程と出典・取得日を記事内に明記しています。元データは誰でも取得できるため、第三者が同じ手順で再現できます(運営者情報)。助成額と条件はクール・ネット東京「令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業」(執筆時点)、区の制度は世田谷区「令和8年度エコ住宅補助金」・練馬区「令和8年度カーボンニュートラル化設備設置補助金」・足立区「太陽光発電システム及び蓄電池設置費補助金」の各公式ページ(同)にもとづきます。製品別の助成額は環境省・令和8年度ZEH事業のSII登録済製品一覧(14社240製品・2026年9月3日取得)を全数集計して算出しました。売電単価は東京電力エナジーパートナー「再エネ買取標準プラン」、自家消費の単価と価格水準は経済産業省 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(2026年2月公表)および「2024年度 定置用蓄電システム普及拡大検討会の結果とりまとめ」(2025年3月)、払っていい上限の計算式はSII「令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業」公募要領によります。特定メーカー・特定販売店からの広告料や情報提供は受けていません。

