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太陽光発電や蓄電池の訪問販売をきっかけにしたトラブルは、実際に増えています。国民生活センターの公表データでは、太陽光発電システムの「点検商法」に関する相談が2022年度154件→2023年度304件→2024年度613件と、2年で約4倍になりました(2025年6月公表)。家庭用蓄電池に関する相談も、2020年度に年間1,314件寄せられています。
手口の紹介や断り方は、この記事でも扱います。ただ、それだけなら他でも読めます。この記事が付け加えたいのは、訪問販売で提示された見積もりを、その場で「高いか安いか」確かめられる公的な水準です。水準を知った上で訪問販売を受けるのと、知らないで受けるのとでは、交渉の立場がまったく異なります。
太陽光・蓄電池の訪問販売トラブルは増えている
全国の消費生活センター等に寄せられた相談件数(PIO-NET登録分・国民生活センター公表)を並べます。
| 年度 | 太陽光発電システムの点検商法 |
|---|---|
| 2021年度 | 90件 |
| 2022年度 | 154件 |
| 2023年度 | 304件 |
| 2024年度 | 613件 |
家庭用蓄電池に関する相談も、2016年度の325件から2019年度に1,302件、2020年度に1,314件へと4倍に増えた経緯があります(国民生活センター2021年6月公表)。相談の典型は「事業者の突然の訪問をきっかけに、その場で高額な契約をしてしまった」というもの。約300万円・約200万円という契約額が相談事例に登場します——このあと見るとおり、公的な基準に照らすとかなり上振れた金額です。
太陽光・蓄電池の訪問販売でよくある手口6つ
国民生活センターが公表している相談事例は、驚くほど同じパターンです。
① 「点検が義務化された」と点検を持ちかける
2024年度に613件まで急増した点検商法の入口です。実際には、太陽光発電設備の点検義務の対象になるかは、FIT/FIP制度の利用の有無や出力等によって異なります。「法律で義務化されたので無料点検します」というトークをきっかけに、パネル洗浄やコーティング、機器交換の契約(相談事例では約40万円)につながります。点検の要否は、訪問してきた事業者ではなく、設置した施工店や契約中の保守窓口に確認してください。
② 電力会社の関連会社や自治体の委託を名乗る
「電力会社の関連会社」「市から委託された」と名乗って信頼させる手口が相談事例に繰り返し登場します。特定商取引法では、訪問販売の勧誘に先立って事業者名・勧誘目的・商品の種類を告げる義務があります。正確な会社名を名乗らせて控える——これだけで多くの営業は続きにくくなります。
③ 無料点検のあとで「壊れている」と不安をあおる
無料点検を受けたら「売電装置が壊れている」「修理より蓄電池を買ったほうがいい」と言われ約200万円で契約——後日、工事担当者から「装置は壊れていない」と言われた、という相談事例が公表されています。「壊れている」と言われても、その事業者に修理や買い替えを頼む必要はありません。別の業者に点検内容ごと確認させるのが確実です。
④ 「今日限りの価格」「安くできるのはあと2件」と急かす
即決を求める理由は単純で、比較されると負ける価格だからです。その場で大幅値引きが出るなら、元の提示にそれだけの余白があったということ。期限を理由に即決を迫られたら、それ自体が比較すべきサインです。
⑤ 「補助金が出るから実質安くなる」
2026年9月時点の事実を知っておいてください。国の蓄電池単体の補助金(DR家庭用蓄電池事業)は2026年5月29日に予算到達で公募を終了し、再開予定はありません。「国の補助金で安くなる」という説明を受けたら、制度名・申請可否を書面で確認すること。「補助金の申請は代行すると言われたが実際は申請されていなかった」という相談事例もあります。自治体の補助金は別枠で存在するので、自治体名と要綱で確認してください。どの制度が生きていてどれが終わったかは 蓄電池の補助金 で整理しています。
⑥ 「モニター価格で安くする」「屋根の図面と電気代の明細を見せてほしい」
「この地区で1軒だけモニターを募集している」「宣伝に使わせてもらう代わりに安くする」というトークは、④の即決型の変種です。モニター価格が本当に安いかどうかは、1kWあたり・1kWhあたりの単価に直さないと分かりません。次の章の基準に当ててください。
屋根の図面や電気代の明細を求められることもあります。正確な見積もりには必要な情報ですが、会社名と勧誘目的を名乗らない相手に渡す理由はありません。書類を渡すのは、こちらが比較の候補に入れると決めた会社だけで十分です。
その場で確かめられる2つの数字
手口を全部覚える必要はありません。最後は必ず「見積もり金額」に現れるので、以下に示す確かめる基準を使えばOKです。どちらも国の公的データに基づく数字です。
| 対象 | 基準 | 意味 |
|---|---|---|
| 太陽光発電 | 32万円/kW | これを超えると、平均的な発電条件では20年使っても元が取れない水準(実勢平均は28.9万円/kW・上位30%は25.6万円/kW) |
| 蓄電池 | 12.5万円/kWh | 国が補助対象の上限としていた価格(+ハイブリッド型は定格出力×2万円の加算)。市場の訪販・電話勧誘系の実勢は17〜22万円/kWhと国の資料に明記 |
使い方は簡単です。提示された見積もりの「機器+工事費(税抜)」を、太陽光ならシステム容量(kW)で、蓄電池なら蓄電容量(kWh)で割る。例えば、相談事例の「蓄電池約200万円」は、仮に10kWhの製品なら20万円/kWh——国の上限の1.6倍なので高いですね。
基準の根拠と詳しい確かめる手順は、太陽光は 太陽光発電の設置費用|相場は28.9万円/kW・狙うのは上位30%の25.6万円/kW と 太陽光発電は元が取れるか|国の公表値だけで回収年数を計算した、蓄電池は 家庭用蓄電池の価格相場 にまとめています。
太陽光・蓄電池の訪問販売の断り方
特定商取引法の2つのルールに基づいて断るのが効果的です。
- 勧誘に先立つ明示義務:事業者は勧誘の前に、事業者名・勧誘目的・商品の種類を告げなければなりません。名乗らない・目的をぼかす時点で、その事業者とは話す必要がありません
- 再勧誘の禁止:「契約しません」と意思表示した相手に勧誘を続けること・再び勧誘することは禁止されています
だから使う言葉は一つで足ります。「契約しません」。「検討します」「今は結構です」は再訪の口実を残す返事です。インターホン越しに用件と会社名を確認し、契約しない旨を伝えて切る——それで法律上の線は引けます。しつこい場合は、その旨を消費生活センター(消費者ホットライン188)に相談してください。
契約してしまったらクーリング・オフ
訪問販売で契約した場合、契約書面を受け取った日を1日目として8日間は、書面または電磁的記録で通知することで無条件に契約を解除できます(クーリング・オフ)。工事が済んでいても適用され、費用の負担もありません。通知書面の書き方は国民生活センターの クーリング・オフ解説ページ にひな形があります。
ローン(個別クレジット)を組んで契約した場合は、販売会社とクレジット会社の両方に通知します。訪問販売のクレジット契約は割賦販売法でクーリング・オフの対象になっていて、販売契約と一緒に解除でき、支払い済みの分は返金を求められます。
8日間を過ぎていても、諦めるのはまだ早いです。勧誘時に事実と異なる説明(「壊れている」「補助金が出る」等)があった場合など、期間経過後でも契約を取り消せる場合があると国民生活センターは案内しています。自分で判断せず、188に電話して経緯を伝えてください。
訪問販売の会社名・悪質業者一覧の調べ方
「訪問販売をしている会社名の一覧」や「悪質業者一覧」という公的なリストは存在しません。あるのは、特定商取引法に違反して行政処分を受けた事業者の公表情報です。消費者庁の特定商取引法ガイド「処分事業者検索」で、社名や商品名で検索できます。
処分事業者データベースに載っている太陽光・蓄電池の訪問販売は5社
当サイトが2026年9月にこのデータベースの掲載全526件を取得し、取扱商品に「太陽光」「蓄電池」「ソーラー」を含む訪問販売の処分を抜き出したところ、次の3事案・5社でした。
| 処分日 | 事業者 | 処分内容 | 取扱商品 | 違反行為 |
|---|---|---|---|---|
| 2024年8月6日 | ブルーコンシャスグループ株式会社 | 業務停止命令(3か月)・指示(中国経済産業局) | 蓄電池、太陽光パネル、エコキュート等と設置工事 | 販売価格等についての不実告知、迷惑勧誘 |
| 2023年5月16日 | リメイク株式会社 | 業務停止命令(15か月)・指示(徳島県) | 住宅リフォームや家庭用蓄電池設置工事等 | 不実告知、債務履行の不当な遅延 |
| 2022年5月26日 | サンパワージャパン合同会社、株式会社M&i、株式会社A・LIKE | 業務停止命令(9か月)・指示(消費者庁) | 販売したソーラーパネルを消費者から賃借(リース)する契約 | 役務の内容についての不実告知、債務の履行拒否 |
出典
- 国民生活センター「報道発表資料(2025年6月4日)」
- 国民生活センター「クーリング・オフ」
- 消費者庁「特定商取引法ガイド 処分事業者検索」
- 経済産業省 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」
- SII「令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業 公募要領」
- 経済産業省「定置用蓄電システム普及拡大検討会(2025年3月)」
出典:消費者庁「特定商取引法ガイド」処分事業者検索(2026年9月3日取得・掲載526件を当サイトが全件集計)。代表者個人への業務禁止命令は省略。
この表の読み方には注意が必要です。載っていない会社が安全だという意味ではありません。相談件数が年間600件を超える点検商法に対して、処分はこの数です。処分は氷山の一角で、確認は会社名ではなく見積もりの数字で行うのが確実です。
「ENEOS」など大手の名前で来る訪問販売
大手の名前を出す訪問販売もあります。たとえば株式会社ENEOSサンエナジー(社名にENEOSを冠する家庭用太陽光・蓄電池の販売会社)は、公式サイトに販売代理店の一覧を公開しています(2026年9月時点で30社前後)。「ENEOSの代理店」と名乗る訪問があったら、その会社名が一覧にあるかを公式サイトで確かめ、載っていなければ本社の窓口に照会してください。
本物の代理店だったとしても、見方は変わりません。大手の名前は価格の妥当性を保証しないので、次の章の基準(32万円/kW・12.5万円/kWh)に当ててから判断します。
会社の実体を確認する
会社名を控えたら、契約前に2つを確認します。
- 処分歴:上の消費者庁のデータベースで社名を検索します
- 会社の実体:所在地・設立年・施工実績が確認できるか。見積書に会社名・所在地・担当者名が明記されない業者は論外です
そのうえで大事なのは、その1社と契約するかどうかを、その1社の情報だけで決めないことです。訪問販売の構造的な問題は、手口そのものより「比較の機会がないまま契約が進む」ことにあります。同じ製品・同じ条件で他社の見積もりを取れば、価格は適正水準に近づきます。
当サイトでは太陽光の相見積もりに「ソーラーパートナーズ」、蓄電池の相見積もりに「エコ×エネの相談窓口」を推奨しています。おすすめする理由は導線が圧倒的にわかりやすいので迷わないですし、規模も大きいので安心だからです。
個人でやるのは大変な「相見積もり」を楽にできるので、価格面で損をするリスクを限りなく減らせます。見積もりも相談も完全無料で、費用は一切かかりません。
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太陽光・蓄電池の訪問販売のよくある質問
Q. 太陽光の訪問販売は怪しいですか?
訪問販売という販売方法そのものが違法なわけではありません。ただし国民生活センターの相談データでは、太陽光の点検商法の相談が2年で4倍に増えています。怪しいかどうかを人柄で見抜くのは難しいので、会社名と勧誘目的を名乗らせる・見積もりを1kWあたりの単価に直す、の2つで確かめてください。
Q. 太陽光発電の訪問販売をやっている会社はどこですか?
公的な一覧はありません。訪問販売は太陽光の販売経路として古くからあり、大手の代理店から地域の会社まで幅広く行っています。分かるのは、行政処分を受けた会社(この記事の表・5社)だけです。訪問してきた会社が本物か・処分歴がないかを調べたうえで、価格は基準で確かめます。
Q. ブルーコンシャスは怪しい会社ですか?
消費者庁の公表情報では、ブルーコンシャスグループ株式会社は2024年8月6日に中国経済産業局から業務停止命令(3か月)と指示を受けています(蓄電池・太陽光パネル等の訪問販売での不実告知と迷惑勧誘)。当サイトはその後の営業状況を確認していません。どの会社であっても、契約するかどうかは見積もりの単価と他社比較で決めてください。
Q. 訪問販売で提示された蓄電池200万円は高いですか?
容量で割ってください。10kWhなら20万円/kWhで、国が補助対象の上限としていた12.5万円/kWh(+ハイブリッド加算)を大きく超えます。経済産業省の検討会資料も、補助事業以外の市場実勢を17〜22万円/kWhと記載しており、訪問販売系の価格はこの帯に乗りがちです。
Q. 太陽光パネルの点検は本当に義務化されたのですか?
一律の義務化ではありません。点検義務の対象になるかは、FIT/FIP制度の利用の有無や出力等によって異なる、と国民生活センターが注意喚起しています(2025年6月)。「義務化された」という訪問トークをきっかけに契約しないでください。点検自体は安全のために有益なので、頼むなら設置した施工店か自分で選んだ業者へ。
Q. 訪問販売の業者はすべて悪質なのですか?
いいえ。訪問販売は販売経路の一つで、誠実な事業者もいます。ただし構造として、人件費のかかる販売手法のコストは価格に乗りやすく、比較の機会がないまま契約が進みやすい。だから「業者が善良か」を見抜こうとするより、見積もりを基準(32万円/kW・12.5万円/kWh)に当て、他社と比較するほうが確実です。
Q. クーリング・オフを申し出たら「工事済みなので無理」と言われました。
訪問販売のクーリング・オフは、期間内であれば工事後でも可能で、原状回復も無償で請求できます。事業者の説明を鵜呑みにせず、消費者ホットライン188に相談してください。
まとめ
訪問販売への備えは3つです。
- 勧誘の前に会社名と目的を確認し、いらなければ「契約しません」と言う
- 見積もりが出たら、太陽光は32万円/kW・蓄電池は12.5万円/kWhの基準に当てる
- 契約してしまったら、8日以内ならクーリング・オフ、過ぎていても「詐欺かもしれない」と感じた時点で188に相談する
相談件数が2年で4倍に増えた今も、手口の本質は変わっていません。
比較させずに、その場で決めさせる。逆に言えば、比較する意思と基準を持っていれば、この商法で損はしません。
そしてもし設置を考えているなら、必ず相見積もりは取ってください。
当サイトでは太陽光の相見積もりに「ソーラーパートナーズ」、蓄電池の相見積もりに「エコ×エネの相談窓口」を推奨しています。
個人でやるのは大変な「相見積もり」を楽にできるので、価格面で損をするリスクを限りなく減らせます。見積もりも相談も完全無料で、費用は一切かかりません。
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調査・執筆:成田 風輝(ソーラー見積もりナビ運営者)。公的機関が公開する一次資料を自分で取得し、計算過程と出典・取得日を記事内に明記しています。元データは誰でも取得できるため、第三者が同じ手順で再現できます(運営者情報)。本記事の相談件数・相談事例は、国民生活センター「太陽光発電システムの点検商法が急増!」(2025年6月4日公表・2025年9月22日更新)および「家庭用蓄電池の勧誘トラブルにご注意!」(2021年6月3日公表)、同センター消費者トラブル解説集にもとづきます。価格の基準は経済産業省 調達価格等算定委員会資料・SII公募要領・経済産業省 定置用蓄電システム普及拡大検討会資料にもとづきます。事業者名の言及は、消費者庁が公表する行政処分情報と、各社の公式サイトで確認できる事実に限っています。

