卒FITはどうするべきか|売電10円時代の4つの選択肢と蓄電池のメリット・デメリット・補助金を国のデータで比較【2026年】

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FITの買取期間10年が終わると、売電価格は大きく下がります。どこまで下がるかは公的に確認されていて、経済産業省・調達価格等算定委員会が2025年12月時点の買取メニューを調べた結果は平均10.0円/kWh・中央値9.5円/kWh。かつて40円台で売っていた世帯にとっては4分の1、24円世帯でも半分以下です。

「卒FIT、どうすればいいのか」

選択肢は実質4つしかありません。この記事では、4つそれぞれの年間の実額を国の公表値で計算し、どんな家庭がどれを選ぶべきかを整理します。先に全体像を示します。

選択肢年間の効果(5kW・余剰約4,000kWhの目安)向いている家庭
① そのまま売り続ける売電 約4.0万円/年手間をかけたくない・設備投資はしない
② 買取先を切り替える±数千円/年の差条件が合えば。過度な期待は禁物
③ 蓄電池で自家消費に切り替える売る10円→使う27円台=差額約17円/kWh卒FIT世帯は蓄電池が最も効く層。ただし適正価格で買えた場合のみ
④ V2H(電気自動車がある/買う予定)③と同構造・容量は数倍昼間に車が家にある家庭

卒FITで何が変わるか

変わるのは売電単価だけです。発電も自家消費も今までどおり続きます。5kW・年間発電約6,176kWh・余剰64.8%(いずれも国の実測平均)の標準的な家庭で見ると:

  • 自家消費の便益(約6.0万円/年)は変わらない
  • 売電収入は、24円世帯なら約9.6万円/年→約4.0万円/年へ(10円で計算)

つまり卒FITの実害は「年間5万円強の収入減」です。痛いですが、設備が無価値になるわけではありません。

なお、委員会は重要な注記をしています。10円/kWh以上の買取メニューは「電気供給とのセット販売や、蓄電池併設等の条件付きであることが比較的多い」。高い単価の広告を見たら、まず条件を確認してください。

選択肢①②:そのまま売る、買取先を替える

何もしなくても、多くの大手電力は満了後の余剰電力を自社の卒FIT単価で買い取る建て付けにしています(満了の数ヶ月前に届く通知で、自分の場合の扱いを必ず確認してください)。①の「何もしない」は、実は年約4万円を受け取り続ける立派な選択肢です。

②の切り替えはどうか。仮に10円が12円になっても、余剰4,000kWhで年間8,000円の差です。しかも上乗せの大きいメニューは電気契約とのセットや長期縛りが条件のことが多い。電気料金プラン全体で総額比較して初めて意味が出る規模なので、「売電単価だけを見て乗り換える」のはおすすめしません。

選択肢③:蓄電池で自家消費へ

卒FIT後の電気の値打ちは売ると10円/kWh。自家消費なら約27円/kWh。差額約17円です(自家消費の便益27円/kWhは国の想定値。厳密には27.45円/kWh)。

蓄電池は、昼の余剰を夜にシフトしてこの差額17円を稼ぐ装置となります。FIT期間中(売電24円)は差額3円しかなく蓄電池を入れる経済的根拠はほぼありませんが、卒FITでこの差が5倍以上に開く。だから蓄電池の経済性が最も出るのは卒FIT世帯です。

ただし、無条件で得になるわけではありません。蓄電池はやめたほうがいい?で計算したとおり、貯めて使える量には上限があり(実効容量×365日と余剰量の小さい方)、卒FIT世帯ですら「適正価格で買えた場合」しか回収は成立しません。

 

また、蓄電池は設置費用も重要な観点です。水準は 家庭用蓄電池の価格相場 にまとめています。

そして、蓄電池の導入をする際は必ず相見積もりが必要です。なぜなら、経済産業省の検討会は、補助事業を通した価格(約12.1万円/kWh)と市場の標準水準(17〜22万円/kWh)に約2倍の開きがあると公表しているからです。10kWhなら121万円と170〜220万円。機器のグレードではなく、どこから買ったかで生まれている差です。

 

当サイトでは、蓄電池の相見積もりには「エコ×エネの相談窓口」を推奨しています。導線が圧倒的にわかりやすいので迷わないですし、規模も大きいので安心だからです。

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卒FIT後に蓄電池を導入するデメリット4つ

卒FIT世帯は蓄電池が最も効く層ですが、デメリットは4つあり、どれも金額で確認できます。

  1. 初期費用が高く、電気代の差額だけでは回収に約23年かかる:下のシミュレーションのとおり、補助事業の実績水準(約12.1万円/kWh)で買えても回収は22〜23年です。市場の標準水準(17〜22万円/kWh)で買うと32〜41年で、保証期間内の回収はできません
  2. 貯めて使える量に上限がある:1年で貯められる量は「実効容量×365日」が上限です。余剰4,000kWhの家でも、実効5.4kWhの製品が動かせるのは年1,971kWh分で、残りは今までどおり10円で売ることになります
  3. パワコンの交換とセットになりやすい:卒FIT時点でパワコンは10年超。ハイブリッド型を選ぶとパワコンごと置き換えるので、蓄電池単体より工事範囲と金額が増えます。逆にパワコンを交換する時期でもあるので、統合すれば二重投資は避けられます
  4. 国の蓄電池単体の補助金がない:国のDR補助金は2026年5月に終了しました。使えるのは自治体の制度と、省エネ工事とセットの国の制度だけです(次の章)

卒FIT後の蓄電池シミュレーション

5kW・余剰約4,000kWh/年・売電10円・自家消費27.45円(差額17.45円/kWh)で、補助事業の実績水準(約12.1万円/kWh・設備+工事)で買った場合です。

蓄電容量(実効容量)年間に貯めて使える量年間の得購入価格の目安単純回収
6.4kWh(実効5.4kWh)1,971kWh約3.4万円約77万円約23年
10kWh級(実効8.5kWh)3,103kWh約5.4万円約121万円約23年
12.8kWh(実効10.9kWh)3,979kWh約6.9万円約155万円約22年

実効容量はSII登録製品の実測(カタログ容量の平均83%)を使い、貯めて使える量は「実効容量×365日」と余剰4,000kWhの小さい方です。容量を大きくしても回収年数はほぼ変わらず、決めるのは1kWhあたりの買値です。回収を15年以内にするには、電気料金の上昇か、12.1万円/kWhを下回る買値が必要です。回収の途中式は蓄電池はやめたほうがいい?にあります。

選択肢④:V2H

電気自動車を持っている(または購入予定がある)なら、車載電池を家の蓄電池として使うV2Hが候補に入ります。EVの電池は20〜60kWh台と家庭用蓄電池の2〜6倍あり、余剰を貯めるという用途では最強です。ただし昼間に車が家にあることが実質的な条件で、機器費用の確認も必要です。詳しくは 太陽光発電×電気自動車|V2H・トライブリッドは得か を参照してください。

卒FIT世帯の蓄電池の補助金

国の蓄電池単体の補助金(DR家庭用蓄電池事業)は2026年5月29日に公募を終了し、再開予定は公表されていません。2026年度に卒FIT世帯が使えるのは次の3系統です。

制度金額卒FIT世帯が使えるか
自治体の補助金(例:東京都)東京都は蓄電容量10万円/kWh・上限120万円/戸使える。東京都は太陽光の設置済みが条件のひとつなので、卒FIT世帯はそのまま該当する
戸建住宅ZEH化等支援事業(環境省)蓄電システム上限20万円/戸住宅のZEH化工事とセットのときだけ
みらいエコ住宅2026事業(国土交通省)蓄電池96,000円/戸省エネ改修とセットのときだけ

自治体の制度は住む場所で15倍以上ちがい、多くが「契約前の事前申込」を条件にしています。制度の一覧と申請の順番は蓄電池の補助金にまとめています。

卒FITのタイミングで確認すべきパワコンの交換

卒FITを迎える設備は設置から10年超。ちょうどパワーコンディショナーのメーカー保証(多くは10年)が切れ、交換の判断がいつか視野に入ってくる時期と重なります。国のヒアリング相場は「20年間で一度・38.4万円程度」。慌てて予防交換する必要はありませんが、蓄電池を入れるならパワコンをハイブリッド型に統合するのが合理的、という接続関係だけ頭に入れておいてください。「卒FIT→蓄電池→どうせならハイブリッドパワコン」は、順番に検討すれば合理的な流れですが、営業側から一括提案されたときは各部品を基準で個別確かめる——これが守りの型です。

卒FITと蓄電池のよくある質問

Q. 自分がいつ卒FITになるか、どうすればわかりますか?

住宅用(10kW未満)の買取期間は運転開始から10年です。満了が近づくと、契約している電力会社から満了時期と満了後の扱いについての通知が届きます(例:北海道電力は満了4ヶ月前を目途に郵送)。通知が見当たらなければ、売電の検針票にある設備ID・契約情報をもとに電力会社へ確認できます。

Q. 卒FIT後、何も手続きしないと売電収入はゼロになりますか?

多くの大手電力は、手続きなしでも自社の卒FIT単価での買取に自動移行する建て付けです。ただし扱いは会社により異なるため、満了通知の記載で「無手続きの場合どうなるか」を必ず確認してください。

Q. 12円で買い取る会社を見つけました。乗り換えるべきですか?

差額は余剰4,000kWhで年8,000円です。電気契約とのセット条件や契約期間の縛りがあるなら、電気料金全体での総額比較が先です。売電単価の2円差より、電気料金単価の差のほうが家計への影響は大きいのが普通です。

Q. 卒FITを機に太陽光をやめる(撤去する)のはありですか?

経済的にはおすすめしません。売電が10円になっても、設備は年約10万円分の価値(自家消費+売電)を生み続けます。撤去には費用もかかります。故障で発電していない場合を除き、「動いている設備を止める」判断が得になるケースはまれです。

Q. 卒FIT後に蓄電池を設置すると、何が変わりますか?

昼の余剰電力のうち「実効容量×365日」分が、10円で売る電気から27円台で使う電気に変わります。実効5.4kWhの製品なら年1,971kWh分で、年約3.4万円の得です。残りの余剰は今までどおり売電されるので、売電収入がゼロになるわけではありません。

Q. 蓄電池なしで卒FIT後の自家消費を増やす方法はありますか?

あります。エコキュートの沸き上げを昼間に設定する、洗濯乾燥機・食洗機・炊飯をタイマーで日中に回す、の2つが代表です。昼に1kWh使うごとに約17円の得で、年1,000kWhを昼にずらせば約1.7万円です。費用がかからないので、蓄電池を検討する前にまずこちらを試してください。

まとめ

整理します。

  1. 何もしなくても年約4万円の売電は可能
  2. 買取先の乗り換えは年数千円の勝負なので電気契約全体で判断経済性が大きく動くのは蓄電池(差額17円)だが、適正価格(12.5万円/kWh基準)で買えた場合のみ
  3. EVがあるならV2Hが容量で勝る。

メインの選択肢は②の蓄電池かと思います。もし導入を考えているなら「エコ×エネの相談窓口」を必ず利用してください。

個人でやるのは大変な「蓄電池の相見積もり」を楽にできるので、価格面で損をするリスクを限りなく減らせます。見積もりも相談も完全無料で、費用は一切かかりません。

出典


調査・執筆:成田 風輝(ソーラー見積もりナビ運営者)。公的機関が公開する一次資料を自分で取得し、計算過程と出典・取得日を記事内に明記しています。元データは誰でも取得できるため、第三者が同じ手順で再現できます(運営者情報)。本記事の卒FIT買取価格(平均10.0円・中央値9.5円)・自家消費の便益(27.45円/kWh)・余剰売電比率・パワコン交換相場は、経済産業省 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(2026年2月公表)の原文PDFを直接確認して引用しています。北海道電力の買取価格は同社公式サイト(2026年8月確認)。特定メーカー・特定販売店からの広告料や情報提供は受けていません。