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エリーパワーの蓄電池を調べると、製品ページには複数のシリーズが並びます。ただし国の補助金事業(SII・令和7年度補正DR家庭用蓄電池事業)に登録されていたのは4製品だけで、しかもその4製品には、他の7メーカーにはない共通点が2つあります。
ひとつは全製品が補助金基準額の上位単価3.75万円/kWhだったこと。登録全製品でこれを達成したのは、166製品を通じて京セラとエリーパワーの2社だけです。
もうひとつは、登録された4製品がすべてV2H対応機(POWER iE Connect)だということ。この2点は、エリーパワーを検討する価値があるかどうかを大きく左右します。順に見ていきます。
【結論】エリーパワーはいくらが適正か
| 項目 | 登録データからの答え |
|---|---|
| 登録製品数 | 4製品(8メーカー中ハンファジャパンと並んで最少。2026年度のZEH登録240製品でも同じ4製品) |
| 容量帯 | 6.4kWh と 12.8kWh の2種類のみ |
| 払っていい上限(税抜) | 92万円(6.4kWh)/172万円(12.8kWh) |
| 実効率 | 84.4〜85.2%(平均84.8%)=8メーカー中6位 |
| 補助金基準額 | 全4製品が上位単価3.75万円/kWh |
| タイプ | 全製品ハイブリッド型(定格出力6.0kW) |
| 該当製品 | V2H蓄電システム「POWER iE Connect」(純国産電池セル・リン酸鉄リチウム) |
出典:SII「令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業」補助対象蓄電システム一覧(2026年8月22日取得)、エリーパワー公式サイト。
エリーパワー 全4製品の「払っていい上限」一覧
「払っていい上限」は、SIIが補助金の公募要領で定めていた目標価格(購入価格の上限。これを超えると補助申請ができなかった公的な線)です。
計算式は蓄電容量×12.5万円+控除額で、控除は3パターンあり
- 太陽光のパワコンと一体(ハイブリッド)なら定格出力1kWあたり2万円
- 逆潮流機能の認証があれば1万円
- ①②の両方なら3万円
が上乗せされます。エリーパワーの4製品はいずれもハイブリッド型で逆潮流認証はないため、パターン1が適用されます(定格出力6.0kW×2万円=12万円)。
| 型番 | 蓄電容量 | 実効容量 | 実効率 | 定格出力 | タイプ | 払っていい上限(税抜) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| EPSー60P064 | 6.4kWh | 5.4kWh | 84.4% | 6.0kW | ハイブリッド | 920,000円 |
| EPSー60PR064 | 6.4kWh | 5.4kWh | 84.4% | 6.0kW | ハイブリッド | 920,000円 |
| EPSー60P128 | 12.8kWh | 10.9kWh | 85.2% | 6.0kW | ハイブリッド | 1,720,000円 |
| EPSー60PR128 | 12.8kWh | 10.9kWh | 85.2% | 6.0kW | ハイブリッド | 1,720,000円 |
実効容量=初期実効容量(JIS C 4413の算出方法による、実際に使える容量)。「P」と「PR」はパッケージ構成の違いで、蓄電容量・定格出力・上限額は同じです。
見積書の「機器代+工事費(税抜)」の合計を、この上限と見比べてください。12.8kWhで税抜200万円を提示されているなら、国が補助対象と認めなかった水準から28万円上振れていることになります。
参考として、経済産業省の検討会データによる補助事業の実績水準(約12.1万円/kWh・設備+工事)で換算すると、6.4kWhなら約77万円、12.8kWhなら約155万円。市場の標準水準(17〜22万円/kWh)まで上がると12.8kWhで218〜282万円です。この3つの水準の使い分けは家庭用蓄電池の価格相場にまとめています。
設置費用をおさえるには、必ず相見積もりを出してください。当サイトでは「エコ×エネの相談窓口」を推奨しています。おすすめする理由は導線が圧倒的にわかりやすいので迷わないですし、規模も大きいので安心だからです。
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エリーパワー蓄電池の販売店相場
エリーパワーはメーカー希望小売価格を公表していません。販売店が公開している工事費込みの価格例(2026年9月確認)を、上の式で計算した上限と並べます。
| 製品 | 販売店の公開価格例(工事費込み) | 払っていい上限(税抜) | 上限に対する倍率 | 補助事業の実績水準(12.1万円/kWh) |
|---|---|---|---|---|
| POWER iE Connect 6.4kWh(SII登録製品) | 約130万円 | 92万円 | 約1.4倍 | 約77万円 |
| POWER iE5 GRID II 12.9kWh(主力・SII未登録) | 約230万円 | 172万2,500円(同じ式で計算した参考値) | 約1.3倍 | 約156万円 |
GRID IIは2026年度のSII登録一覧(DR166製品・ZEH240製品)に載っていないので、上限は同じ式(12.9kWh×12.5万円+定格5.5kW×2万円)で計算した参考値です。倍率1.3〜1.4倍は、希望小売価格を公表しているメーカー(ニチコン2.2〜3.1倍、パナソニック2.8〜3.7倍)の定価と上限の開きより小さく、販売店の売価としては他社と同じ水準です。見積もりが上限の1.3倍を超えていたら、同じ型番で相見積もりを取る根拠になります。
補助金の単価は全製品が上位だった
終了したDR補助金では、補助金の単価が製品ごとに違いました。公募要領が定めた基準額は3.45万円/kWh(初期実効容量あたり)で、そこに評価による上乗せがありました。
| 評価項目 | 評価基準 | 増額 |
|---|---|---|
| ① レジリエンス | 早期復旧・原因解明が可能な体制と、電池セル等の主要部品を迅速に供給できる拠点の両方が整っていること | +0.2万円/kWh |
| ② 廃棄物処理法上の広域認定 | 製造・加工・販売等の事業者が蓄電池関連製品で広域認定を取得していること | +0.1万円/kWh |
両方を満たすと3.75万円/kWh。登録した全製品がこの水準だったのは、166製品のうち京セラ(6製品)とエリーパワー(4製品)の2社だけでした(パナソニックは64製品中41製品が3.75万円)。
ここで大事なのは、この評価項目が示しているのは補助金の額ではなく、故障したときの復旧体制と、廃棄するときのルートが整っているかどうかだという点です。国の補助金は2026年5月29日に公募を終了したので、単価そのものはもう受け取れません(制度の現在地は蓄電池の補助金)。それでも「電池セルの供給拠点がある」「広域認定を取っている」という事実は、10年以上使う設備を選ぶうえで残る材料です。
エリーパワーは電池セルを国内の自社工場で生産していると公式に説明しており、採用しているのは熱安定性に優れるリン酸鉄リチウムです。レジリエンスの評価を満たしていることと、この生産体制は無関係ではありません。
登録4製品はすべてV2H対応
これが最も見落とされやすい点です。SIIに登録されたエリーパワーの4製品は、V2H蓄電システム「POWER iE Connect」にあたります。蓄電容量6.4kWh/12.8kWh、パワーコンディショナの定格出力6.0kWという公式仕様が、登録データと一致します。
V2Hとは、電気自動車(EV)の駆動用バッテリーを家庭の電源として使える仕組みです。つまりこの製品を選ぶかどうかは、「EVを持っているか、買う予定があるか」で評価が大きく変わります。
| 状況 | 評価 |
|---|---|
| EVがある/買う予定がある | 蓄電池とV2Hを1台にまとめられる。EVの電池容量は家庭用蓄電池の数倍あるため、停電時に使える電気の量が大きく変わる |
| EVを持つ予定がない | V2H機能に対価を払うことになる。同じ容量で他社の非V2H機と価格を比べ、差額の意味を確認したい |
V2Hの経済性と、見積もりで「蓄電池部分とV2H部分を分けさせる」確かめる手順は太陽光発電×電気自動車|V2H・トライブリッドは得か、国の登録データで確認で扱っています。
エリーパワーと他メーカーの蓄電池を実効1kWhあたりの上限で比較
同じ容量帯の他メーカー製品と、実際に使える1kWhあたりの上限で比べます。
実効容量で割るのは、カタログ容量あたりで比べると実効率の差が消えてしまうからです。
| メーカー・型番 | 蓄電容量 | 実効容量 | タイプ | 控除額 | 払っていい上限 | 実効1kWhあたり |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 長州産業 CBーP127M05A | 12.7kWh | 10.9kWh | 専用(逆潮流認証あり) | 5万9,000円 | 1,646,500円 | 15万1,055円 |
| オムロン KPBPーAーPKGーMM4 | 12.7kWh | 10.9kWh | 専用(逆潮流認証あり) | 5万9,000円 | 1,646,500円 | 15万1,055円 |
| パナソニック PLJーRE32C131 | 13.1kWh | 11.4kWh | ハイブリッド | 12万円 | 1,757,500円 | 15万4,167円 |
| エリーパワー EPSー60P128 | 12.8kWh | 10.9kWh | ハイブリッド | 12万円 | 1,720,000円 | 15万7,798円 |
各メーカーの12.6〜13.1kWh帯から実効率が最も高い型番を1つずつ抽出。上限は当サイトがSII登録データと公募要領の計算式から算出。
この帯の上限は実効1kWhあたり15.1万〜15.8万円に収まっていて、エリーパワーは最も高い側です。差の理由はタイプの違いにあります。
この容量帯で長州産業とオムロンが登録しているのは専用型(単機能型)で、控除は5万9,000円。一方エリーパワーはハイブリッド型なので12万円)。控除額の差6万1,000円が、上限の差になってるイメージです。
つまりこれは「エリーパワーが割高」という話ではありません。ハイブリッド型は太陽光のパワコンごと置き換えるので、その費用ぶんの余地を国が認めていたということです。逆に言えば、すでに太陽光があってパワコンがまだ新しい家なら、専用型のほうが総額は抑えられます。同じ12.8kWh級で15.1万円台の選択肢があることを知ったうえで判断してください。
エリーパワーの実効率84.8%をどう読むか
実効率は、カタログの蓄電容量に対して実際に使える容量の割合です。エリーパワーは84.4〜85.2%(平均84.8%)で、8メーカー中6位。
| メーカー | 実効率の平均 | 登録製品数 |
|---|---|---|
| ハンファジャパン | 88.5% | 4製品 |
| ニチコン | 87.1% | 36製品 |
| シャープ | 85.7% | 10製品 |
| 京セラ | 85.5% | 6製品 |
| オムロン | 85.1% | 21製品 |
| エリーパワー | 84.8% | 4製品 |
| 長州産業 | 83.9% | 21製品 |
| パナソニック | 78.5% | 64製品 |
ただし実効率が低い=劣る、ではありません。実効率はJIS C 4413の算出方法にもとづく値で、電池をどこまで深く使う設計にするかという思想の差でもあります。浅く使えば数値は下がりますが、電池への負担は軽くなります。
エリーパワーで注目すべきは、平均値よりばらつきの小ささです。4製品の幅は84.4〜85.2%で0.8ポイント。長州産業の13ポイント、パナソニックの15.7ポイントと比べると、どの型番を選んでも「思ったより使えない」という誤算が起きにくい構成です。実効容量の考え方は蓄電池の実効容量とは|カタログ容量の平均83%・SII登録166製品で実測で詳しく解説しています。
エリーパワー蓄電池の保証と耐用年数
公式FAQ(POWER iE Connect)に記載された無償保証は次の3本です。
| 保証 | 内容 | 条件 |
|---|---|---|
| 容量保証(15年) | 15年で初期容量の70%を保証 | 無償の「ごあんしんサービス」への登録が条件。未登録だと有償対応 |
| 容量保証(20年) | 20年で初期容量の60%を保証 | 同上 |
| システム保証 | 15年(当社製品起因の故障は無償修理) | 同上 |
耐用年数の目安になるのは電池セルの試験値です。公式ページは「17,000サイクル後でも電池容量は初期の70%を保持」と説明しています(室温25℃・1日3サイクル・放電深度100%での予測値)。家庭用は1日1サイクル前後なので、サイクル数だけなら46年分に相当し、先に来るのは保証の15年と20年です。他社の保証条件と並べた表は蓄電池の寿命は何年?にあります。
エリーパワーと大和ハウスの関係
「大和ハウスの蓄電池=エリーパワー」と聞くことがあります。公式の株主構成(2026年5月26日現在)では、大和ハウスグループが発行株式の20.01%(うち大和ハウス工業10.46%)を持つ筆頭株主です。エリーパワーは2006年設立で、投入資本額は501億5,040万円(2023年11月30日現在)、従業員346名(2026年4月1日現在)と公表しています。
大和ハウスで建てる家にエリーパワーの蓄電池が提案された場合、価格は建物の見積もりに含まれることが多く、機器だけの金額が見えにくくなります。「蓄電池と工事」の金額を分けて出してもらい、この記事の上限(6.4kWhで92万円・12.8kWhで172万円)と比べてください。
エリーパワー蓄電池のデメリット
誠実に書いておくべき弱点があります。登録された容量は6.4kWhと12.8kWhの2つしかありません。
パナソニックは3.5〜16.1kWhを64製品で細かく刻み、ニチコンは4.9〜19.9kWhをカバーしています。エリーパワーの2択は、自宅の余剰電力量や夜間の使用量にぴったり合わせたい場合には粗い刻みです。
蓄電池の容量は「太陽光の余剰で貯め切れる量」と「夜に使い切れる量」の内側に収める必要があります。この量が6.4と12.8のどちらとも噛み合わないなら、他メーカーも並べて検討する価値があります。8メーカーの横断比較は蓄電池メーカーランキング|国の登録データ166製品で比較にまとめました。
もうひとつ。エリーパワーの登録製品はすべてハイブリッド型で、単機能型(専用型)がありません。すでに太陽光があってパワコンがまだ新しい家では、パワコンを置き換えることになります。後付けのタイプ選びは蓄電池の後付け|単機能とハイブリッドで「払っていい上限」が6.9万円変わるで確かめられます。
エリーパワー蓄電池のよくある質問
Q. エリーパワーの蓄電池はいくらで買えますか?
販売店によって変わるため一律の実売価格はありません。確かめる基準は本記事の型番別上限(6.4kWhで92万円・12.8kWhで172万円)と、補助事業の実績水準(約12.1万円/kWh・設備+工事=経産省検討会データ)です。12.8kWhなら約155万円が実績水準の目安になります。
Q. 登録が4製品しかないのは、メーカーとして小さいということですか?
登録数は補助事業への登録手続きの結果であって、企業規模や品質の評価ではありません。エリーパワーは公式サイトに、系統連系型(POWER iE Connect/POWER iE5 GRIDⅡ/POWER iE5 GRID)とスタンドアローン型(POWER YIILE 3ほか)の複数シリーズを掲載しています。SIIに登録された4製品はこのうちV2H対応のPOWER iE Connectにあたり、可搬型のPOWER YIILEシリーズや、他の系統連系型シリーズは本記事の上限一覧の対象外です。それらの見積もりを受けている場合は、SII登録の有無を販売店に確認してください。
Q. 保証は何年ですか?
公式FAQでは、容量保証が15年70%と20年60%、システム保証が15年です。いずれも無償の「ごあんしんサービス」への登録が条件で、未登録だと有償対応になります。工事完了時に登録が済んでいるかを販売店に確認してください(各社の保証条件の横断比較は蓄電池の寿命は何年?)。
Q. エリーパワーの蓄電池は安全ですか?
電池セルは国内の自社工場で製造したリン酸鉄リチウムで、正極材料の熱安定性が高い種類です。家庭用蓄電システムは電気用品安全法(PSE)の対象外のため、代わりにJIS規格による安全性確認を第三者認証機関で受け、S-JETマークを貼付していると公式FAQに記載があります。
Q. エリーパワーの蓄電池の耐用年数はどれくらいですか?
公式の試験値は17,000サイクル後に初期容量の70%です。1日1サイクルなら46年分に相当するので、実際の使用期限を決めるのは保証の15年(70%)と20年(60%)のほうです。
Q. 補助金は使えますか?
国の蓄電池単体の補助金(DR家庭用蓄電池事業)は2026年5月29日に公募を終了し、再開予定はありません。住宅の省エネ工事とセットなら国の制度が残っており、自治体の制度は住んでいる場所で金額が大きく違います。
Q. EVを持っていなくても選ぶ意味はありますか?
あります。V2H機能を使わなくても、太陽光と組み合わせた蓄電池としては動きます。ただしV2H機能ぶんの価値を払っていることになるので、同容量の非V2H機と見積もりを並べて差額を確認したうえで決めるのが合理的です。
まとめ
エリーパワーは「登録4製品すべてが上位単価×すべてV2H対応」という、他の7メーカーにない性格を持つメーカーです。
利用を考える際は、下記4点をチェックしましょう。
- 型番の上限(6.4kWhで92万円・12.8kWhで172万円)を引く
- 見積もり(税抜・機器+工事)と比較する
- EVの有無でV2H機能の価値を判断する
- 保証書で年数と下限%を確認する
また、蓄電池導入を考えているなら「エコ×エネの相談窓口」を必ず利用してください。
個人でやるのは大変な「蓄電池の相見積もり」を楽にできるので、価格面で損をするリスクを限りなく減らせます。見積もりも相談も完全無料で、費用は一切かかりません。
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出典
- SII「補助対象蓄電システム一覧」
- SII「令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業 公募要領」
- 経済産業省「定置用蓄電システム普及拡大検討会(2025年3月)」
調査・執筆:成田 風輝(ソーラー見積もりナビ運営者)。SIIが公開する登録データ166製品を表計算とスクリプトで全数集計し、公募要領の計算式で1製品ずつ検算しています。集計元データは誰でも取得できるため、第三者が同じ手順で再現できます(運営者情報)。本記事の製品データは、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)「令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業」の補助対象蓄電システム登録データ(8メーカー166製品・2026年8月22日取得)を当サイトが全数集計したものです。目標価格と控除の規定は同事業の公募要領、価格水準は経済産業省「2024年度 定置用蓄電システム普及拡大検討会の結果とりまとめ」(2025年3月)、製品仕様はエリーパワー公式サイト(2026年8月23日確認)にもとづきます。特定メーカー・特定販売店からの広告料や情報提供は受けていません。

